実家から離れて暮らす子供世代にとって、高齢の親世代への心配事が少しずつ気になり始めます。
特に、築年数の経っている家は、バリアフリーへの配慮がなされていないことが多く、安全に暮らせないのではないか、などの不安が日々膨らんでいきます。
そんな不安や、どうやって少しでも安心できる日々を手に入れられるかなどを、シェアしてみよう、との思いで仲間内の座談会を開催しました。
事前アンケートにお答えいただきました!
当日の所要時間は1時間。
なるべく効率的に進められるよう、事前にアンケートにお答えいただき、ご質問などをいただきました。
当日のお話の内容やアンケートに書かれていた心配事は大きく分けて5つ。
1.家の老朽化
2.浴室に関すること
3.トイレ・キッチンなど浴室以外の水回りに関すること
4.古い家具など、ご実家に残されたモノたちの片付けのこと
5.漠然とした不安
今回は、3の家の浴室以外の水回りに関するお悩みごとのなかで、トイレのことについて、アンケートのご質問をふまえながら書いてみようと思います。
トイレはなかなか悩ましい
トイレのお悩みは大きく分けると4つ
1.寒い
2.狭い
3.廊下などと段差がある
4.現状に何を加えればいいかわからない
ただ、トイレの造りや位置する場所はそのお宅によってバラバラ。
また、戸建てとマンションなどの共同住宅では考え方全く違います。
ケースバイケースすぎて、なかなかひとくくりにお話しするのが難しいのが現状です。
これまでのブログでは寒さや、段差・広さのことを書きました。
今回のブログでは
4.現状に何を加えればいいかわからない
というお悩みについて、ほとんどの場合でいずれ必要になる「トイレの手摺」についてお話しします。
手摺の種類と用途
年齢とともに身体機能や感覚機能が低下してくるのは避けられない事実です。
ちょっとした段差につまずいたり、移動の際にバランスを崩したりして、けがにつながることもしばしばおこりがち。
「手摺」と一言で言っても、場所や用途で次のような使い分けが必要です。
1)廊下や階段などに取り付けて、手を滑らせながら水平・斜め(傾斜)方向に移動するためのもの。
2)浴槽や便器で立ち上がったり座ったりするときにしっかり握って体重を垂直方向に移動するためのもの。
3)小便器や洗面器などで、手摺を手のひらで握るというより、体幹をあずけたり、よりかかったりするためのもの。
使う方のお身体の状態に合わせて、必要な場所に用途に合った手摺を付けることが大切です。
トイレの手摺の種類と用途
では、トイレの場合の手すりを考えてみましょう。
(以下の資料は衛生機器メーカーTOTOさんのカタログよりダウンロードさせていただきました。)
トイレの手摺の位置はドアの位置によって概ね次の2タイプに分かれます。
1は出入口用の縦手摺です。
3のL型の手摺はよく目にすると思いますが、
入口付近はドアの開閉時にバランスを崩しやすい場所です。
とくに廊下とトイレに段差がある場合はより危険度が増します。
トイレのドアの開く向きや段差の有無でトイレ内にあったほうがいい場合や廊下側にあったほうがいい場合、両方がいい場合など状況に合わせて設置しましょう。
2は移動用横手摺です。
ドアが便器の横にある場合やドアから便器までの距離が長い場合、この手摺があると安全にトイレ内を移動できます。
3は立ち座りサポート・座位保持用手摺です
上の図のようなL型のものや紙巻き器と一体になっているものなどがあり、新築の時に初めから付けることも多いタイプの手摺です。
縦の部分をつかむことで立上りの動作が楽になり、
横の部分は便座に座っているとき姿勢を安定させるためにも役立ちます。
縦型手摺に下図のような前方ボード(跳ね上げタイプ)を加えることも出来ます。
排泄時に前傾姿勢を保持したいときに有効です。
ここまでは壁に取り付けるタイプの手すりをご紹介しましたが、
お身体の状態に合わせて、床に取り付けて必要なものを組み合わせるシステムタイプもあります。
手摺を設置するスペースの確保が難しい時のためは、
コンパクトなハンドグリップも有効です。
また、トイレの場所によっては、トイレまでの廊下などに移動のための手摺が必要になることも考えておかなければいけません。
このように「手摺」と一口に言っても、様々な用途のものがあります。
使う方のお住まいやお身体の状況によって、必要なものを適切な場所に取り付けることが大切です。
手摺の設置は介護保険の適用になることがほとんどです。
専門家の意見を聞いて、使う方たちの安全、見守る方たちの安心につながるよう、考えていきましょう。
オンライン相談も受け付けています。
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